労働条件と派遣法

参院選の争点ともなった派遣法
先日行われた参議院議員選挙において、労働者の条件改善が一つの争点となりました。その中で、労働者派遣法を問題視する意見も多く聞かれました。
当サイトでも幾度かご説明していますが、労働者派遣法とは人材派遣について定めた法律です。人材派遣事業を行う際の規則や、派遣会社、派遣先の義務、派遣スタッフの権利などについて定めています。
この労働者派遣法が、労働者の生活や就労の条件が改善されない理由の一つとなっているというのが、派遣法を問題視する人々の意見です。
派遣法が問題視される理由
では、なぜ労働者派遣法が問題視されているのでしょうか。その理由は、労働者派遣法が派遣事業の自由化を進めており、その結果、派遣会社や派遣先がより派遣スタッフを自由に使いこなせるような流れになっているためです。
表面的に見ると、様々な業種での派遣が認められ、派遣期間の制限も緩くなる傾向にあるので、派遣スタッフにとっても選択肢が増えたように感じられます。しかし、それは同時に様々な業種の企業が、期間の縛りをそれほど受けずに派遣社員を利用することができることでもあります。
正社員よりもリスクや賃金を低く抑えることのできる派遣社員を、企業が利用しやすくなることで、正社員の雇用は増加しにくくなります。これが、労働者の労働条件や賃金、ひいては生活条件がなかなか向上しない原因の一つだというわけです。
確かに、派遣で働いていても生活に十分な賃金を得ることができず、ネットカフェなどを転々とするネットカフェ難民がいることなどが、ニュースでも取り上げられ問題となっています。また、そこまで深刻な生活難でなくても、仕事の量や質に見合わない賃金で働いていると感じている派遣社員は、相当多いものと思われます。
派遣社員の待遇は一般的に正社員より悪く、その派遣社員の利用を企業がしやすくなるように自由化を続ける派遣法は、労働条件が改善されない一因であるとの見方がでてきているのです。
根本的な問題は派遣法ではない
しかし、労働条件が改善されない理由が派遣法にあるというのは、少々お門違いとも言えます。なぜなら、例え派遣社員の利用に制限を与える方向で派遣法を改正したとしても、派遣会社や派遣先企業が変わらない限り、派遣スタッフの待遇が変わるはずはないからです。
派遣自由化がなかったとしても、企業はアルバイトやパートなどの雇用を増やすだけで、それが正社員の雇用に繋がるとは考えにくいですし、派遣社員の利用に制限を加えたとしても、それが派遣として働く人々の労働条件を向上させるかというと、そうとも言えません。
労働者の待遇が改善されない一番の原因は、企業が人を雇う際に企業のコストやリスクばかりを考え、労働者が最低限の生活をできるような賃金や待遇を与える義務を果たしていないという一点に尽きます。派遣法が、企業が労働者を都合良く使うための手段として利用されている一面はあるものの、手段の一つを封じても別の手段がある限りは、何の解決にもなりはしないのです。
「派遣だから」「非正規雇用者だから」というだけで、正当な理由もなく不当な賃金や待遇で働かせる企業の考え方や体質をどうにかしないと、派遣法をいくらいじったところで根本的な解決には至らないのが現実です。
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