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すぐ辞める原因は環境差別


寂しい環境格差

多くの派遣社員が派遣先に対して最も不満に思っているのが、「環境が社員と違いすぎる」ということです。

例えば、「社員には着替えようのロッカーがあるのに、派遣にはない」「社員は社員食堂を使えるのに、派遣は使えない」「社員には備品の文具が支給されるが、派遣は自費で買わなければならない」といったものです。

正社員だろうが派遣社員だろうがアルバイトだろうが、同じ職場で働くことには変わりないのですから、雇用形態が違うからといって職場環境に差をつけられては働く意欲も湧いてこないというものです。

「コートを椅子に掛けているのでしわくちゃ」
「社員食堂が使えないので一人だけ弁当」
「文具が支給されないので自費で買い置き」

どれも、あまりにも寂しい状況です。

企業の意識

もちろん、すべての派遣先でこんな状況だというわけではありません。しかし、約30%ほどの派遣先では派遣社員用のロッカーがないというアンケート結果などもあり、依然として派遣社員の職場環境について社員と差別している企業が少なくないのが現実です。

では、なぜ一部の派遣先企業は「派遣だから」という理由だけで、職場環境で手抜きや差別を行うのでしょうか。

一部の極端に悪質な派遣先においてその原因となっているのは、リストラの一環として派遣が利用されるケースが多いという点だと思われます。雇用関係のない派遣社員であれば、正社員を雇った場合に比べてコストもリスクも低いので、正社員の変わりに派遣社員を受け入れることで、コスト削減をしています。そして、コスト削減のために派遣社員を受け入れているのだから、職場環境の整備に掛かるコストも極力抑えたいという意識があるわけです。

また、正社員を採用するのに比べればコストもリスクも低いとは言え、派遣会社に支払う派遣料金も安くはありません。派遣先としては、「高い料金を支払っているのだから、少しくらい我慢しろ」という本音もあるでしょう。

労働環境の整備は企業の義務

しかし、正社員でも派遣社員でも同じ職場で働く人間であることに変わりはありません。その職場で働くに当たって、ロッカーが必要なことにも変わりはありません。「派遣だからコートがよれよれでも構わない」などという理屈は、正当性ゼロです。

社員食堂についても、「正社員のための食堂なのだから、直接雇用関係にない派遣は使えなくて当たり前」と思っている人もいるでしょうが、同じ職場で働く者なのに同じ場所で食事ができない、食事にかかる負担に差がある、そんな環境で気持ちよく働けるでしょうか。企業としての度量の狭さも感じてしまいます。

また、派遣会社が受け取る派遣料金がそのまま派遣社員に渡されるわけではありませんから、派遣先が考えているほどの収入を派遣社員が得ているわけではありません。手取りはそれほど大きい額にはならず、交通費も支給されないことがほとんどですから、仕事に必要な備品まで自費で用意しろというのは酷です。

労働者の環境を整えるのは企業の義務ですし、仕事の効率や能率を上げるとともに、現場の人間の労働意欲を高めるためにも最低限必要なことです。上記のいずれの環境差別も、自社の事業を行う労働者を支援すべき企業がすることとしては、雇用者としての思慮が著しく欠けた行為と言わざるを得ません。

しかしながら、派遣社員や契約社員、そして特にアルバイトやパートタイマーとして働く人々に対しては、環境差別があっても正社員ではないのだから仕方がない、というのが悪しき常識となってしまっています。これが、コスト削減で会社を成長させ、不況の陰を未だ引きずる現代日本の労働現場の実状です。

環境差別の顛末

給与や賞与面での待遇は正社員に比べて低いのに、余計に出費を要求されたり差別的な環境を用意されれば、気持ちよく働ける環境ではありません。このような環境差別の元では、派遣されたスタッフの労働意欲は低下します。

すると、労働意欲が上がらず派遣先に対しても良い印象のない派遣社員は、契約期間を更新したがりません。そして、その会社での仕事を覚えきる前に辞めてしまい、また新しく派遣社員がやってきます。ところが、新しい派遣社員もこの派遣先で長く働く気は起きませんから、またすぐに辞めていきます。

このように、環境差別の酷い派遣先企業では、派遣社員が更新せずに短い期間で辞めていく傾向が強くなり、なかなか人が定着しません。そして、これが「派遣はすぐ辞める」などと言われる一つの原因ともなっているようです。

派遣先にとっても、正社員より低いコストで即戦力を受け入れたはずなのに、成長しながら長く働いてくれる人材が育たないので、結果的に正社員を雇用した方がコストに見合っていたという状況になります。

原因は明らかに派遣先企業の環境差別にあるわけですが、「派遣だから我慢して当然」というような思考の幹部しかいないような企業だと、「お宅のスタッフはすぐに辞めてしまって仕事もロクに覚えてもらえない」などと、派遣会社に苦情を言い出す始末で、何も改善しません。派遣会社も派遣先の言うことを真っ向から否定できる立場ではありませんから、まさに出口のない悪循環となります。

「派遣はすぐ辞める」そんなレッテルを貼りたがる企業の中には、自らすぐ辞められてしまう環境を作り出しているところも少なくないようです。

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