横行する二重派遣と偽装請負

二重派遣とは
派遣会社から派遣されたスタッフを、派遣先企業がさらに他の企業に派遣することは、法律で禁じられている「二重派遣」です。しかし、派遣先企業が別の企業から請負で受注した仕事を派遣スタッフに任せる場合は、二重派遣とはなりません。
ここで問題になるのが、派遣と請負の違いです。

派遣は、派遣元から派遣された労働者が、派遣先の指揮監督の下で働くという形態です。これに対して請負は、労働者と雇用関係にある請負業者が、発注元から請け負った仕事を、自身の指揮監督の下で労働者に行わせます。
例えば、派遣会社A社から派遣先B社に派遣されたスタッフZさんが、さらにC社の仕事を行うよう指示された場合、C社の仕事をB社の指揮監督の下で行っており、C社からB社に対してZさんの労働に対する賃金が支払われていなければ、これはC社からB社への請負なので、二重派遣ではありません。
しかし、Zさんが仕事をする際の指揮監督をC社が行っていた場合、これはB社が自社と雇用関係にないZさんをC社に派遣していることになりますから、二重派遣となります。同時に、B社は請負に見せかけてZさんを派遣しているので、偽装請負だとも言えます。

二重派遣も偽装請負も法律に反する行為で、二重派遣が発覚すれば、職業安定法違反により1年以下の懲役か20万円以下の罰金が科せられます。
二重派遣の実害
二重派遣が派遣スタッフにとって及ぼす実害としてまず挙げられるのは、賃金の不当な搾取です。先ほどの例で言えば、派遣会社A社へB社が派遣料を支払ってZさんの派遣を受け、B社はさらに高い派遣料をC社から受け取って、Zさんを二重に派遣しています。
ですから、Zさんと雇用関係にないB社が、Zさんの二重派遣によって不当にマージンを受け取っていることになります。もしC社へA社が直接派遣していればB社が搾取しているマージンも必要ないのですから、その分Zさんが多くの賃金を受け取ることも可能なわけです。
このような不正なマージン搾取を目的とした二重派遣は、主にコンピュータ関連の専門職やエンジニアなどの職種で横行しています。これらの専門職は元々時給が高い上に、業界内で偽装請負が慣習化している傾向が強いため、二重派遣や偽装請負による不正が根強く残っているようです。
給与面の他のデメリットとしては、トラブル対応時の責任の所在が不明確ということがあります。二重派遣という形態が法律上は存在してはならないことになっていますから、二重派遣された先で万が一のことが起きても、派遣先やその派遣先の間で責任をたらい回しにされる恐れもあるわけです。
近年メディアなどにも取り上げられ、自主的に二重派遣や偽装請負の撤廃と労働者の待遇改善に乗り出す企業もありますが、実態としてはまだまだ二重派遣や偽装請負はなくなっていないようです。労働者にとっては不利益にしかならない違法行為ですので、契約時には良く確認し、もし二重派遣させられていたと分かった場合は、ハローワークや労働局、ユニオンなどに相談してください。
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