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派遣先のセクハラを許すな


なぜセクハラがなくならない?

1999年に改正された労働者派遣法では、派遣先にセクハラを防止・改善するための管理責任があると定められました。そんな改正が盛り込まれるほど、派遣スタッフに対するセクハラの被害は頻発していました。そして、派遣先に管理責任が発生した後も、減ってはいるものの、セクハラの被害はなくなっていません。

なぜ、一般の正社員などに比べて派遣社員に対するセクハラが横行しがちなのか。その理由の一つには、派遣社員や派遣会社の立場の弱さがあると思われます。

実際、セクハラだと訴えたがために契約を打ち切られたり、ありもない噂などを流されて退職に追い込まれたという被害例もあります。そのような事態になる恐れがあるため、セクハラを受けたスタッフもなかなか言い出しにくいわけです。

また、派遣先に直接言えないので派遣会社の担当者に相談した場合でも、派遣先の機嫌を損ねて仕事がなくなることを恐れ、派遣会社もなかなか相談してくれない場合があります。特に、会社の規模が小さく、仕事を少しでも減らしたくない派遣会社では起こりやすいかもしれません。

そして派遣先の悪徳社員は、このような立場の弱さにつけ込んで、「どうせセクハラをしても訴えてこないだろう」とセクハラをしてくるわけです。

このような、派遣スタッフや派遣会社の立場の弱さからくる悪循環が、派遣スタッフに対するセクハラを助長する一因となっているのです。

セクハラの定義と被害例

一言にセクハラと言っても、その被害は様々。セクハラ=セクシャル・ハラスメント(性的嫌がらせ)は、性的な言動や行動を受けた側が不快に感じ、嫌がらせと判断すれば、それはセクハラとなります。

その言動や行動を不快に感じるかどうかは、相手との関係にも左右されますし、軽い受け答えや冗談をいちいちセクハラだと訴えていたら、会話さえまともに成り立たなくなってしまいますが、基本的にセクハラかどうかの判断は受けた側に委ねられています。

また、セクハラの種類は対価型と環境型の二つに分類されます。

(1)対価型セクハラ
 職務上の権限を使い、性的な要求をするもの。

(2)環境型セクハラ
 性的な言動や行為で相手の業務環境を阻害する行為。

派遣スタッフの女性が実際に受けた被害例としては、以下のようなものが挙げられます。

対価型セクハラの被害例
 ・「断ったら契約を解除する」と、体への接触を強要された。
 ・人事担当者との交際を断ったために、契約を更新されなかった。
 ・体に触れられセクハラだと訴えたら、仕事をなくされた。

環境型セクハラの被害例
 ・業務中や飲み会の席で、不必要に体に触られた。
 ・わいせつなポスターが職場の壁に貼られている。
 ・性的な話を聞いたり話したりするのを強要された。

セクハラに無縁な職場で働いている方も大勢いますが、その一方で以上の例のような悪質なセクハラ被害も、実際に起こっているわけです。

セクハラの対処法

立場上、被害を訴えにくい派遣スタッフですが、セクハラは違法な人権侵害です。また、法律云々を言う前に、セクハラをするような人物と一緒に働くのは非常に気分の悪い話です。絶対に我慢してはいけません。

まず、セクハラを受けた時にはきっぱりと拒否の意思表示をしましょう。先にお話ししたとおり、セクハラかどうかの判断は、基本的にセクハラ行為を受けた側に委ねられています。セクハラを受けた時点で嫌がって拒否していることを明確に示すことで、それがセクハラだと自分以外に人にも認識させることができます。

後々聞き取りや裁判などになった場合にも、拒否の意思表示をしていたということが重要な証拠となります。拒否していることを明確に示しておけば、後から加害者が「同意の下だった」「嫌がられているとは思わなかった」と言い逃れしようとしても、それができなくなります。

たいていの場合、セクハラをしてくる人は相手が拒否しないだろうと踏んでセクハラをしてきます。そして、一度拒否されなかったら、その後はセクハラ行為がどんどんエスカレートしていきます。セクハラ行為をそこで止めさせるためにも、必ず拒否の意思表示をしてください。どんなに気が弱い方でも、必ずです。

それでもセクハラの被害が収まらなかった場合は、派遣会社の担当者か苦情受付窓口に相談して、派遣先への改善要求を求めてください。

派遣の場合、次のような責任が派遣先と派遣会社の双方にあります。

派遣先・派遣元が負う、セクハラ防止についての責任
(1)事業主の方針の明確化及びその周知・啓発
 事業主がセクハラを認めない旨を明らかにし、社員にも周知させること。
(2)相談・苦情への対応
 相談・苦情の窓口を明らかにし適切かつ柔軟に対応すること。
(3)事後の迅速かつ適切な対応
 事実を確認し、加害者の指導・懲戒、被害者の名誉回復・救済に速やかに取り組むこと。

それでも、派遣先が事実を認めなかったり、派遣会社が弱腰で役に立たない場合は、各地の労働局やユニオンに相談して指導を求め、必要があれば弁護士や法務局へも相談を行ってください。

その際、セクハラ被害に遭った証拠が大変重要となりますので、セクハラに遭った場合はその詳細を記録してください。例えば、日時やその時の行為や会話の詳細、その時の心情や行っていた業務内容、その後の経過など、できるだけ詳しく記録を取っておくのがベストです。また、可能であれば、悪質なセクハラが続く場合は、ボイスレコーダーや携帯電話のカメラなどを使い、より客観的な証拠を残しておくのも有効です。

甘んじて受け入れないことが重要

セクハラについて、「男女が働く職場ではあって当たり前」「必要悪」「いちいち気にしていたら仕事ができない」などという考えを持っている人も、いまだに存在しています。

確かに、彼氏や彼女の話題など、軽い世間話の範囲の話であれば、セクハラと騒ぐのも過剰反応かもしれません。しかし、勤務中にいきなり胸を触ったり、飲み会の席で関係を強要する、そんな行為は性犯罪でしかありません。

拒否する態度を明確にして、改善されなければ監督省庁に訴え、裁判で損害賠償や慰謝料を請求する、そういう毅然とした態度を見せずに、甘んじてセクハラを受け入れれば、セクハラ被害は蔓延します。

セクハラは許さず、きっぱり拒否する。被害にあったら、必ず記録を残す。これが鉄則です。

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