新卒派遣の落とし穴?

新卒派遣のメリット
派遣という働き方が浸透していく近年、学校を卒業していきなり派遣で働く「新卒派遣」というものが一部で注目を集めています。
新卒派遣とは、新卒や第二新卒の人が、派遣会社に登録するとともに研修を受け、その後派遣先で1年ほど契約社員として働くという派遣のスタイルです。派遣期間終了後は、派遣先に採用されることを予定しており、その点は紹介予定派遣に似ています。
派遣先にとっての新卒派遣の主なメリットは、以下の通りです。
派遣先のメリット
・派遣社員として働く前に派遣会社で研修を受けているため、教育コストを抑えることができる。
・派遣社員として働いている間に、必要な人材かどうかの見極めができ、すぐ辞める若者や業務に適さない人材を正社員登用してしまう恐れが少ない。
・派遣期間中の給与・福利厚生コストが削減できる。
次に、派遣会社にとってのメリットを挙げてみます。
派遣会社のメリット
・企業が新卒を採用する過程に派遣を介在させることで、マージンを得ることができる。
・研修費、派遣契約期間中の派遣料収入、契約終了後の紹介料で利益を得られる。
この二者のメリットを見た時、気になるのが「派遣先が、派遣社員として働いている間に、必要な人材かどうかの見極めができる」という点と、「派遣会社が研修費を得られる」という点です。
必ず正社員採用されるとは限らない
まず「派遣先が、派遣社員として働いている間に、必要な人材かどうかの見極めができる」という、派遣先のメリットについて見てみましょう。
新卒派遣の派遣社員が派遣として働いている間に、派遣先はその働きぶりを見て能力や人物を直接確かめることができます。もちろん、そこで派遣スタッフが努力して成長すれば、派遣先企業も高い確率で雇用を申し出てくれるでしょう。
しかし、新卒派遣も紹介予定派遣と同じように、派遣期間終了後に必ず雇用してもらえるかは分かりません。もし、新卒派遣で働いてみたが、あまり自分に適していない職場だったとすれば、1年ほどの派遣契約のみでその後の雇用はなく、仕事が終了となる場合もあるわけです。
これが通常の新卒採用であれば、その後も適正がありそうな部署に異動して様子を見るなどしつつ、安定した雇用の下で自分の働き方をその企業に見つけることもできるかもしれません。
しかし、派遣は契約で業務が決まっていますから、他業務も試すといったことが可能でない場合も多く、派遣契約が終わった時点で適正がないと判断されればおしまいとなる可能性もあるわけです。派遣先に取ってみれば、手間のかかる社員を雇うコストを削減するためにも新卒派遣を採用しているので、やはり正社員登用は難しいでしょう。
つまり、もし適正のない業務に新卒派遣で就いた場合、結局1年間の派遣の仕事をしただけの、通常の派遣業務で終わってしまうこともあり得るわけです。
教育コストのたらい回し
次に、「派遣会社が研修費を得られる」という派遣会社のメリットについて見てみましょう。新卒派遣では、派遣契約前にビジネスマナーやOA機器の操作、担当する業務の関連技術などについて、数ヶ月間の研修を受けることになります。
派遣社員には、ある程度即戦力としての力量が求められますから、新卒と言えども多少のビジネススキルを身につけておく必要があるわけです。そして、この教育コストを削減できることは、派遣先にとってのメリットでもあります。
しかし、この研修の費用は派遣スタッフの自己負担になるのが普通です。派遣会社や担当業務にもよりますが、研修は派遣会社が提携もしくは運営するスクールなどで行われ、十数万から数十万円の研修費用がかかるのが一般的となっています。
このコストは、通常の新卒採用を行った場合、その企業が負担するコストです。しかし新卒派遣では、派遣先企業が浮かせたコストが、派遣会社を経由して派遣スタッフにのし掛かる構図になっているわけです。
このコストを負担した上に正社員採用を見送られるようなことになれば、まさに泣きっ面に蜂、派遣スタッフには何のメリットもなかったことになります。
本当に必要かどうかを見極めるのが大切
派遣スタッフにとっては、新卒派遣に何のメリットもないとは言いません。リスクが引くために派遣先が門戸を大きく広げている分、採用を見込みやすいといった評価できる点もあるでしょう。
しかし、これまでお話ししたことを考慮に入れると、新卒派遣が働く側にとって良いことばかりの働き方ではないことがお分かりいただけると思います。むしろ、派遣先や派遣会社の都合が優先された、この二者にとってメリットの大きい働き方とも言えるのです。
ですから、就職先が見つからないからといって安易に新卒派遣を選ぶのは、適切な判断とは言えません。就職浪人としてアルバイトや通常の派遣を経験したり、契約社員としての道を選ぶなど、様々な選択肢と比較して、リスクを納得した上で利用しなければ、思わぬ落とし穴にはまる結果にもなりかねません。
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