人材派遣の道 > 派遣法律チェックポイント > 事前面接は違法だが…


事前面接は違法だが…


労働者派遣法では、派遣先に派遣スタッフを特定する行為を禁じています。また、派遣会社についても、これに協力することが禁止されています。

例えば、事前に面接を行ったり、履歴書の送付を受けたり、年齢の若いスタッフに限定したり、性別を指定するなどの行為は、行ってはなりません。これらの行為を行えば、労働者派遣法に違反していることになります。

例外として、派遣期間終了後の直接雇用を予定とする紹介予定派遣については、将来の直接雇用を見込んでいることから、事前面接や履歴書の送付が可能とされています。

しかし、事前面接や履歴書の送付は、紹介予定派遣以外の通常の派遣でも当たり前のように行われているのが現状です。事前面接が違法だと知らない派遣先もたくさんあるでしょうし、分かっていても打ち合わせなどの名目で事前面接を行っている場合がほとんどです。

正社員に比べ人件費を抑えられる派遣スタッフとは言え、顔も能力も人当たりも把握できない人材を採用する企業はほとんどありません。また、ミスマッチな人材を雇い、指導や教育、はたまた派遣会社へのクレームや人材交代に時間を割いていては、派遣先企業には何のメリットもなくなってしまいます。

このような派遣先の事情があるため、派遣先を顧客とする派遣会社も、事前面接や履歴書送付の要望は断ることができないというのが本音のようです。また、一社の派遣先が複数の派遣会社と契約しており、いくつかの派遣会社がスタッフを送り込む際に競合していることも多く、事前面接で質の良いスタッフをアピールすることは、派遣会社が仕事を得るために必要不可欠なステップともなっています。

筆者も派遣スタッフとして数度に渡り勤務した経験がありますが、すべてのケースで事前面接があり、その際には派遣先に履歴書を渡して対面で質疑応答を行いました。派遣経験者にアンケートを行った雑誌やWebサイトの結果を見ても、やはりほとんどの派遣スタッフが事前面接を受けており、事前面接の経験がない派遣スタッフは10%にも満たないようです。

    Check Point!

違法である事前面接や履歴書送付ですが、この点について言えば労働者派遣法は形骸化していると言っても過言ではありません。禁止されている「派遣スタッフを特定する行為」がなくては、派遣先は安心して派遣スタッフを受け入れることができないというのが実情です。

また、事前面接を打診された派遣スタッフが労働者派遣法を盾にそれを断れば、その仕事が決まるとは考えにくいところです。派遣先に対して派遣会社よりも立場の弱い派遣スタッフですから、違法をどこに訴えたところで仕事が決まるわけでもなく、現実には抗いようがありません。

しかしながら、事前面接は派遣スタッフにとって不利な状況を生み出すばかりのものではありません。

万が一、容姿や出身地などで選別されたとすれば、それは労働基準法にも抵触する重大な差別行為ですが、それは何も派遣スタッフの面接に限ったことではありません。そのような差別的な選別を行った節が見られたのであれば、雇用形態に関わらず厚生労働省などに訴え出るべきでしょう。(とは言え、どのような条件で選別されたかを証明するのはかなり困難ですが…)

本来、面接は共に働くに当たって能力や経歴、人物などを見極めるための重要な過程です。派遣スタッフの事前面接も、ほとんどの場合はそのような過程の一つとして行われています。

また、派遣スタッフとしても、自分の能力や経験、人柄を実際にあって確かめてもらうことができますから、書面やスキルシートだけでは分かってもらえない部分をアピールすることが可能です。さらに、面接をした感触で働きたい職場でなければ、それを判断材料にして仕事を断ることもできます。

違法とはいえ、事前面接が必ずしも派遣スタッフにとってマイナスだとは言えないわけです。

逆に、事前面接がなかった場合、派遣スタッフにもいくつかのマイナス要素が出てくると考えられます。それは、主に能力やスキルのミスマッチです。

例えば、ソフトウェア開発として派遣されたスタッフが、経験上Aというプログラム言語に熟練していて、Xという言語については多少扱える程度だったとします。そのスタッフが、もしXを使った開発がメインの派遣先に派遣されたとすると、このスタッフは不得意な言語での開発を強いられることになります。ましてや、経験のあるスタッフは即戦力として期待されていますから、そのような期待を受けつつ慣れない言語を勉強しながら業務を行っていくことになり、負担は増大します。

以上の例は極端なものですが、同じ言語やアプリケーション、技術や資格の中でも、得意分野と不得意分野のミスマッチが起こっただけで、想像と実際の業務に大きなズレが出る場合もあります。

こなせるかどうか分からない仕事に立ち向かうのも悪いことではないでしょうが、自分に負担がかかるだけでなく派遣先の同僚にまで負担をかけていては、立場はますます苦しくなってしまいます。

能力やスキルのミスマッチを防ぎ、派遣先の社員の人柄や職場の雰囲気をつかんで仕事を受けるかどうかの判断材料とする上で、事前面接は派遣スタッフにとってもある程度のメリットがあるものと言うことができます。また、違法だからと言って闇雲に抗議をするのは、派遣事業の実情を考えれば賢明な判断とは言い難いのが現実です。

ちなみに、かつては紹介予定派遣でも事前面接は禁止されていました。労働者派遣法の改正に伴い、派遣スタッフを特定する行為の禁止がさらに緩和される可能性もないとは言えません。

<< 前のページへ戻る

最新派遣法律チェックポイント>>

 最新更新情報 (10秒ごとに切り替ります)


    派遣法律チェックポイント   



 偽装請負はNO



 禁止業務への派遣はNG



 派遣事業は許可制



 契約内容は必ず確認



 派遣期間は業務次第



 事前面接は違法だが…



 不当な契約解除にはNO





 URLを携帯に送信します。 下記入力フォームに携帯メールアドレスを入力して送信ボタンを押してください。
「とくする携帯サイト」として、携帯版専門サイトURL情報を送信いたします。

  @
※ドメイン指定受信を設定されている方は受信できるように設定してください。